インドネシア進出問答集 サプライチェーン編-1 JIT納入に対応する場合のネックは何か
社長:うちは某大手自動車メーカーの、ジャカルタ東部に出来た新しい組立工場に、部品をJITで納入しなければならないけれど、特に注意しなくてはけないことは何でしょうか?
小野:JIT納入に対応するためのサプライチェーンを、材料調達、部品生産、部品納入の大きな三つのプロセスで考えてみましょう。まず、材料調達ですが、インドネシア国外からの輸入はありますか?
社長:はい、日本から特殊鋼材をコンテナー船で毎月輸入する予定です。
小野:当初の2年間は新規投資に対する優遇措置として、輸入税、付加価値税、前払法人税が免除されます。そのためには予めマスターリストを申請して認可を受けることになります。そしてインボイスなどの輸入書類は必ずこのマスターリストの表記と一致していなくてはなりません。もし、名称や価格が違っていると書類の訂正などで輸入通関が遅れ、生産遅れに繋がることもありますので細心の注意が必要です。
社長:生産設備が故障した場合、日本から修理担当者が飛んで来て対応することは可能でしょうか?
小野:可能です。但し、工場の中に入って作業をするためにはビザが必要です。いつでも飛べるように、現地法人が招聘する形での数次の商用ビザを取得しておくことをお薦めします。また、日本と違い、予想しない事態が起きてもすぐに供給が止まらないよう、経営を圧迫しない程度の安全在庫を常に維持しておくこともお薦めします。在庫は減らすことばかり追求するものではなく、適正なレベルにしておくものだと捉えておくことが大事です。
社長:仕上がった部品を納入する際に、有名なジャカルタの渋滞を回避するため、お客さんの工場が入っている工業団地の近くに進出したのですが、これで大丈夫ですよね?
小野:同じ団地の中であれば心配ないでしょう。しかし、隣の団地であっても一般道を経由するとか、高速道路の料金所が専用に開設されていな場合などは、距離は短くてもその地点で大幅に時間を取られ、納入時間に間に合わないなどの事態も懸念されます。事前に色々な時間帯での混雑状況を念入りに調べておくことが必要です。