インドネシアで仕事をする時の小話的アドバイス 【品質に相当する単語が無い?】
インドネシア語にはMutuという単語はありますが、特に産業分野では、なぜか英語のQualityをもじったKwalitastが良く使われます。Mutuは等級の意味合いが強いようですが、中味そのものの質を追求する場合はしっくり来ないのかもしれません。深く考えて見ると、出来上がった成果物を並べて比較評価することはあっても、その途中経過の仕事の質や材料の質についてはあまり追求しないように見えました。
当時住んでいた借家の契約を更新した時のことですが、家の修理に一ヶ月くらい大工などの職人が入りました。私の生まれ育った実家は父方、母方共に大工職人や家具職人が多かったので、休日には興味を持ってインドネシア人の職人の仕事ぶりを見学していました。大工職人が柱を新しいものに替えようとしていたのですが、図面寸法より少し長かったのか、その場で鋸を使って切り取ったのは良いのですが、切り過ぎて短くなったので今度は板を釘で打ち付けていました。しかし、そんな感じで進められた改装工事も仕上がりは大変綺麗でした。でも地震が来たら恐いなあと思いながら、それからまた3年間その家に住み続けました。
インドネシアのテレビのコマーシャルを観ていると、Mutu Tinggi !!(高い品質)と連呼している時がありますが、あれも出来上がった時の品質が高いのであって、製造途中の品質は別物だろうなと思ってしまいます。先日もインドネシア人が好んで食べる牛肉団子(Basok)に、イスラムではご法度の豚肉を混ぜて販売している事件がありました。どうもそのサプライチェーンを根絶した様子はなく、既に販売されたものを回収してうやむやになった様子なのです。
本当に良い品質のものを提供するには、原材料の段階から遡って品質の作り込みをしなくてはいけないことを理解してもらえば、Made in Indonesiaは世界中どこでも通用するはずです。