インドネシアで仕事をする時の小話的アドバイス 【ERPパッケージ導入の障壁は低い?】
日本では1970年代頃から、業務を担当している人達もパソコンやオフコンの使い方を勉強し、オペレーターにとって便利な情報システムを開発しました。この方式は真っ白な大理石に自分達で彫り物をするような感じであるから『スクラッチ』と呼ばれています。この方式で作られた当時の個別最適な情報システムは『レガシー(遺産)システム』と呼ばれます。
しかし、90年代後半にインターネットが爆発的に普及し、そしてY2Kと呼ばれて恐れられた2000年問題が、関係者の事前の努力により大きな問題もなく過ぎ去った直後、インターネットを活用したグローバル展開に対応が難しいレガシーシステムを、欧米の大手業務用ソフトウエアベンダーが提供する、ERPシステム(会計やサプライチェーンなどの企業経営の基幹業務を統合管理するための情報システム)に置き換える、いわゆるIT革新ブームに火が付きました。
ところが、これらERPシステムは会社によって異なる組織や業務フローとは関係なく、標準的なビジネスプロセスを前提に設計されているため、スクラッチ方式で作られたレガシーシステムに慣れた業務担当者にとっては、自分の体型に合わない着心地の悪い既製服でした。まして、日本では現場の声が重要視される『ものづくり文化』が根付いているため、いまだにERPシステムの導入に苦労している事例が多く見受けられます。
一方、インドネシアでは日本のようにレガシーシステムのしがらみや、現場重視の障壁が高くないので、ERPシステムの導入が比較的スムーズに出来るのではないかと期待しています。そして最近は日系企業の進出ラッシュに合わせるように、現地でサービスを展開し始めている外資系のIT企業も次第に増えています。
ただ、少し心配なのは、折角ERPシステムの本来の機能を活かせる真っ白なキャンパスであるにも関わらず、日本本社の仕組みやしがらみ、そして慣習に引き摺られて結局のところ本社と同じように、ERPシステムでレガシーシステムを作るという、笑えない事態になってしまうことです。