インドネシアで仕事をする時の小話的アドバイス 【自然循環の限度を超えた廃棄物】
インドネシアではまだ日本のような家庭ゴミを分別して集積場に持ち込むというシステムはありません。塀の外に置かれたゴミ箱から、トラック、リヤカー、そして籠を使ったゴミ屋が持ち去る風景は今も変わりません。
工場から出るゴミの中には再利用可能な材料が結構混じっているので、ゴミ回収業者はお金を払って工場のゴミを貰いに来ます。これらのゴミ回収業者はジャワ島の東端に隣接するマドゥーラ島出身の男達によって支配されているようです。彼らは一種のマフィアのような組織を作っており、縄張り争いで殺人事件も多いと脅されたものです。街中を伝統衣装で身を包み、薬草から作った飲み物を何本かの瓶に入れて、背負いながら売り歩いているのも同じマドゥーラ出身の女性達で、もし彼女達に悪さをするとマドゥーラマフィアに消されると、やはり脅されたことを憶えています。
話が少し逸れてしまいましたが、さて、これらのゴミは一体どこに行くのでしょうか?インドネシアにはTPSと呼ばれるゴミ廃棄場が各地に設けられています。これらは日本の夢の島のような埋め立て地ではなく、広大な敷地にゴミの山が積み上げられているのです。そこではゴミを捨てに来るダンプカーがひっきりなしに往来しています。そして、それらのゴミの中から売れそうなプラスチックなどを集める大人や子供の姿が見られます。ゴミの自然発火で焼け死んだとか、大雨の後に山が崩れて埋もれて死んだとか言うニュースも時々あります。
最悪なのは都市部の河川に捨てられたゴミです。毎日の投棄で溜まった膨大なゴミは橋桁などに遮られ、大雨の際にはそれがダムのようになって大洪水を引き起こす一因になっています。同じ雨の量でも、昔に比べて洪水の被害が酷くなっていると言われるのは、まさにこのゴミが原因と思われます。経済成長でプラスチックなどのゴミが増えていることは間違いありません。
少なくとも日本人と日系企業だけでもゴミの行方を知って、それが環境に及ぼしている悪影響を少しでも減らすよう、日本で行っているゴミ処理の細かい習慣をインドネシアでも率先して行いたいものです。それも一つのクールジャパンだと思います。