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26.02.2013 出島『海外ビジネスコラム』原稿

インドネシアで仕事をする時の小話的アドバイス 【あっと驚く発想の新工法】

 ジャカルタ市街地の少し東側を、港のあたりから真っ直ぐに南下している高架の高速道路をご存じでしょうか。現地に駐在していた時代は、毎日その建設現場を見ながら通勤していましたが、ある日あっと驚いたのです。

 その高架工事は片側三車線の道路を塞ぐことなく、中央分離帯の幅だけを使って進めていました。下から見上げると、橋桁の上で作られている橋梁の幅も狭いもので、こんな幅の狭い高架を作ってどうするのかと疑問に思っていました。

 しかし、ある夜のこと、交通を遮断して行っていたのは、その橋梁を橋桁の上で水平に90度回転させることでした。聞いたところによると、橋梁と橋桁の間の回転部分に油を注入する隙間を予め設けておいて、油圧で橋梁を僅かに持ち上げて回転させた後に油を抜き取って固定するとのことでした。

 片側三車線の大通りを塞ぐことなくその上に同じ幅の高架道路を作る。これはインドネシアの工学博士が考案した工法だと、インドネシアの知り合いが得意そうに語ってくれました。地震が来たら危ないのではないかと質問したところ、ヤジロベイのようにバランスを取って揺れるから大丈夫とのことでした。おそるべし、インドネシア人。

 そしてその知人はさらにもう一つのインドネシア人による新工法を教えてくれました。鶏の足(Cakar Ayam)と呼ばれる、ジャカルタ空港の滑走路の基盤工法がそれです。

 その工事現場は残念ながら見たことはありませんが、大型航空機が着陸する際の衝撃を吸収するために、滑走路の基礎部分に空のドラム缶を埋め込んであるそうです。これが鶏の足のような効果を生み出すことからそう呼ばれたと聞いています。もっとも、私には航空機の車輪の方が鶏の足に良く似ていると思えるのですが・・・。

 それにしても、どちらの工法も他国で採用されたとの話を聞かないのはどうしたものでしょうか。地震大国の日本で片側三車線の高架道路を一本の橋桁で支えるのは無理があるのか、日本では相変わらず交通量を制限しながら高架道路を作っています。

インドネシアビジネスサポート