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27.02.2013 出島『海外ビジネスコラム』原稿

インドネシアで仕事をする時の小話的アドバイス 【絵に描いた餅のシートベルト】

 1980年代末頃だったと記憶していますが、運転者と同乗者に対してシートベルトの着用が法律で義務付けられました。その時に話題になったのは、シートベルトが印刷されたようなシャツを着て、警察官の目をごまかすドライバーが現れたことでした。

 これはインドネシアの人達の安全に対する意識を上手く現わしているなあと感心しました。ニュースを観ていると、今でも通勤電車の屋根には大勢の人が這い上がり、ヘルメットの紐を締めているバイクのライダーは稀です。気候とか経済的な理由もあるかもしれませんが、当時と何も変わっていない感じです。

 色々な事故のニュースを観て感じるのは、インドネシアの人達は危険予知という観念が、大きく欠けているのではないかということです。その証拠に30年前も、20年前も、10年前も、そして現在も同じような原因の事故が起きているのです。

 事故現場に集まって来ている野次馬の表情からは、ただの好奇心だけで、あくまでも他人事であるから自分には関係ないという意識が良く読み取れます。自分がこのような被害を受けないためには、常日頃どんなことに気を付けなくてはいけないだろうか、という危険予知に発展しないようなのです。

 工場での作業中の事故や怪我を出さないために、空気を読むKYではなく、危険予知のKY活動を導入しました。改善提案の小集団活動はある程度定着したと思うのですが、この危険予知活動はなかなか思うように成果を上げることが出来ませんでした。

 かといって怪我をしても平常心で痛みに耐える人達ではなく、いざそうなると小さな怪我でも大変な騒ぎで、自分の血を見ただけで失神してしまう大の男が結構いたものです。しかし、その瞬間までは自分とは関係ないと考えているようなのです。

 自分の健康と安全は自分自身で守ろうという意識が低い原因は、宗教から来ているのか、それとも自然環境から来ているのか、私にとっては今でも判らない問題です。

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