インドネシア進出問答集 国内市場編-1 出て行って仕事はあるのか
社長:既にインドネシアで事業を展開している取引先からは、早く出て来て欲しいと言われているのですが、経営の保証までしてくれている訳ではないので、進出した後も本当に仕事を確保できるのか心配です。
小野:大手の組立メーカーにはインドネシア政府から常に現地化比率向上の圧力がかかっており、また継続したコストダウンのためには部品の現地化は避けられないことです。しかしインドネシアの地場産業にそれを望むのはまだまだ時期尚早であるため、日本で取引のある外注先に対しては早く出て来て欲しいと要請することになります。だからと言って、進出のお手伝いから、操業後の仕事の確保まで面倒を見てくれる会社は多分ないでしょう。
社長:業種によっても異なるのでしょうが、インドネシアの経済は今後も成長すると期待して良いのでしょうか?
小野:2年前に国民一人当たりのGDPがUS$3,000を超えた辺りから、国内需要が急拡大しています。それは自動車やオートバイが道に溢れ、大渋滞が問題になっているジャカルタ市内を一目見れば納得出来ます。また、巨大なショッピングモールや高層アパートが林立する様子は、日本の高度経済成長時代を彷彿させるものがあります。事実、日本の昭和40年代とインドネシアの過去10年間の経済成長は、その規模と成長カーブが全く同じなのには驚かされます。人口構成も現在は60%が30歳以下であるため、人口ボーナスは2025年頃まで続くと言われています。このことからもまだまだ右肩上がりが続くと考えて良いでしょう。
社長:出て行った以上は他力本願と言う訳にはいかないので、新たな取引先も探さなくてはいけないと思うのですが、簡単に見つかるものでしょうか?
小野:簡単とは言えませんが、上記のように総需要は間違いなく増えて行きますから、チャンスは非常に多いと思います。日本でのしがらみをあまり気にしないで取引の範囲を広げることが出来るかもしれません。もちろん日本企業に限定することはありません。これまでの日本での枠組みにこだわらず、自社の技術を活かして新しい業種に積極的にチャレンジ出来る世界が待っていると言えるでしょう。自分の足で飛び込みセールスを行っても良いでしょう。ジャカルタでは色々な産業展示会が頻繁に開催されていますので、その機会を利用することも良いでしょう。インドネシアの商工会議所や工業省などに相談に行くことも良いでしょう。幸い今は現地に行かなくてもインターネット上で取引先の候補や関係機関を探すことも可能ですので、事前にアポイントを取ってから、現地に出かけることが出来ます。