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26.12.2012 出島『海外ビジネスコラム』原稿

インドネシア進出問答集 投資条件編-2 インドネシア進出の本来の目的は何か

社長:取引先のメーカーからインドネシアに進出して欲しいと言われています。日本国内での仕事量は次第に減って来ており、会社として生き残るにはインドネシアへの進出が大きな機会であることは判っています。しかし、進出するために借金を増やして、日本での事業を縮小することに何のメリットがあるのか、納得のいく解答が見つけられずに悩んでいます。

小野:複雑な思いを整理するために、会社が価値を生み出す要素を、四つのプロセスに分けてみましょう。

1番目は調達・生産・納入からなるサプライチェーンプロセスです。
2番目は企画・開発・設計からなるデザインチェーンプロセスです。
3番目は交渉・販売・契約からなるカスタマーチェーンプロセスです。
4番目は分析・創造・発信からなるマーケティングチェーンプロセスです。

貴社ではこれまで、どのプロセスで価値を作り出し、利益を生み出して来たのですか?

社長:我が社は他所では出来ない独自の加工技術を開発して仕事を得て来たので、2番目のデザインチェーンプロセスが価値を生み出す核になっていたと言えます。

小野:インドネシア進出に伴って、サプライチェーンプロセスとカスタマーチェーンプロセスは現地にシフトしますが、デザインチェーンプロセスとマーケティングチェーンプロセスは日本に残せるのではありませんか。

社長:売上がインドネシアにシフトしてしまい、日本ではお金がなくて何も出来ない状態になってしまうのではないのだろうか?

小野:インドネシアは海外送金が原則自由な国ですから、配当やロイヤリティー、技術援助料といった形で、利益を本社に還元して、進出投資の回収に当てるだけでなく、デザインチェーンプロセスやマーケティングチェーンプロセスの活動資金に回すことで、商品の競争力をさらに高めることができるのではありませんか?

社長:商品の競争力を高めたとして、インドネシアには買ってくれるところがたくさんあるのでしょうか?

小野:インドネシア国内での新たな取引先候補はこれから益々多くなると思われます(国内市場【1.出て行って仕事はあるのか】を参照)。それに対応するために、カスタマーチェーンプロセスを現地にて強化すれば良いのです。

社長:日本の得意分野である『ものづくり』が海外に流出してしまい、産業の空洞化に拍車をかけているようで、なにか後ろめたい気がしないでもないが・・・。

小野:生産現場における狭義の『ものづくり』という観点では確かにそうかもしれない。しかし、『ものづくり』上記の四つのプロセスで観た場合は、必ずしも空洞化ばかりではなく、国際分業という形で『ものづくり』そのものが生き残り、そしてさらに大きくなる可能性を持つと考えて良いのではないでしょうか。
それに、インドネシアは色々な面で日本とは補完関係を築ける国であると思います。進出することによってインドネシア経済の発展に寄与し、雇用機会を生み出し、そして人材の育成に貢献している事実は、日本の本社にとっても価値あるものを、必ずやもたらしてくれるものと信じています。

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