04.02.2013
出島『海外ビジネスコラム』原稿
インドネシア進出問答集 税金制度編-3 移転価格税法に気を付けろと良く言われるが
社長:インドネシアで税務申告する際には移転価格税制に気を付けろと良く耳にしますが、具体的にはどんなことを言うのでしょうか?
小野:簡単に言うと、日本の本社に利益が出るように、インドネシア現地法人に対する材料や部品の輸出価格を不当に高くしていないか、日本本社への完成品輸出価格を不当に安くしていないか、その結果インドネシア政府に本来納付すべき税金が不当に削られていないかと、税務署に疑われてしまうことです。
社長:疑われるとどうなるのですか?
小野:私も経験があるのですが、税務調査のためと称して会計データやパソコンなどを全て持ち去られてしまい、挙句の果てにとんでもない額の追徴税を請求される恐れがあります。
社長:そうならないために、どうしたら良いのでしょうか?
小野:まずは不当な輸入価格や輸出価格の設定を行わないことは言うまでもありませんが、それらが正当な価格であり、正当な契約に基づくものであることを証明出来るようにしておくことが必要です。
社長:税務申告する前に疑われることがないかどうか確認出来ないのでしょうか?
小野:基本的には現地の公認会計士や監査法人と日頃からコミュニケーションを良くしておくことが大切です。お金はかかりますが、信頼のおける評判の良いところと契約しておくことが必須です。
社長:小野さんのいた会社が調査を受けた理由は何だったのでしょうか?
小野:色々な理由から赤字決算となったのですが、そのまま税務申告に使ってしまったことが原因でした。税務署の主張は、日本の本社に利益を誘導するために、インドネシア法人を赤字にしたのだろう、の一点張りでした。今でも当時のことを思い出すと胃が痛くなります。