27.02.2013
出島『海外ビジネスコラム』原稿
インドネシアで仕事をする時の小話的アドバイス 【ペンキを塗ることが保全?】
年度末には原材料や仕掛品などの棚卸を終えた後に、オペレーター自身による機械や設備の整備点検を、いつもよりは入念に行うことを慣例化していました。
汚れを取って、油を差して・・・ここまでは良いのですが、その後は機械全体にペンキを塗りたくる傾向が多く、気を付けないと可動部分にまで塗る始末で、開いた口が塞がらないこともありました。
なぜ機械を清潔にしておくことが大事なのか、このことを納得させないまま整備点検を任せてはいけません。機械を清潔にしておくのは、何か異常が生じた際に、油漏れなどの症状が直ぐに見えるようにするためだよと、実際の機械を前にして具体的に説明しなくてはなりません。
見た目を綺麗にすることが5Sの目的ではないから、やたらペンキを塗るのは止めなさいと言っても、やはりペンキを塗るのが好きらしく、仕方が無いので、あまり害の無い倉庫の部品棚とか壁などは黙認していました。
これは工場の従業員に限ったことではなく、街中を走っているバスやトラックにも、かなりポンコツなのに分厚い塗装で誤魔化しているものを時々見かけます。また、住宅の建築にしても、大丈夫かなあという工事途中の様子と、ペンキを塗った後の見違えるような外観の変貌ぶりには思わず溜息が出てしまいます。溜息の理由は、一年もしないうちに発生するであろう、ひび割れや浸水を予想したためです。
保全に限らず、なぜ5Sを行うのか、その本当の理由を納得させることが大事です。5Sの実施手法だけをいくら一生懸命教えても、本来の効果はあまり期待出来ません。