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24.03.2014 現地責任者の必須予備知識

6. 人材開発および管理

6-1. 人員採用:雇用契約書の整備

 インドネシアは日本よりもはるかに書類重視の国です。従業員の採用に際しても、正規社員あるいは期間契約社員の違いに関わらず、雇用契約書に基づいて給与などの待遇を文書で確認し、労使双方の署名をした上で保管されるのが本来の形です。
 そして、この雇用契約書を交わすためには、管轄の労働省地方事務所により批准された、就業規則、あるいは労働協約(労働組合が結成された後に就業規則に代わるものとして用意される)が既に正式に存在していることが必要です。
 しかし、多くの中小企業はこれを知らないままに従業員を採用しているのが実態です。取締役も含めて10人以上の従業員で労働組合を結成出来るインドネシアにおいて、もしも外部からの圧力などで突然のように労働組合を組織されたら、何を基盤に交渉するのでしょうか。
 2003年に新たに制定されたインドネシアの労働基本法は労働者保護を手厚く、詳しく明記しており、就業規則はそれに沿って作るしかないのが実態ですので、選択肢は非常に少なく、草案にはさほど手間を要しません。必要なものは早目に用意しておきましょう。

6-2. 人事考査:インドネシア社会に適した評価制度の導入

 以前の日本のように年功序列を重視すべきか、それとも欧米のように能力と実績を重視すべきなのか、その選択は簡単ではありません。仕事の性質に合わせていくつか異なる制度を用意するのも一つの選択肢のように思われますが、運用面での煩雑さを考えると躊躇してしまいます。
 また、同業種の日本企業が多く集まる工業団地の中で、自社だけ特異な制度を導入するのも、団地内で足並みを揃えましょうとなった時に困惑することも予想されます。
 ジャワ人が多数を占める職場では長幼の序が重んじられるため、能力や実績をあまり前面に押し出した制度では当人たちが却ってやりにくいかもしれません。
 仕事の性質、運用面の都合、地域との整合、文化慣習への配慮等々、考慮すべき要因は非常に多くあります。だからと言っていつまでも悩んでいる訳にもいきません。先達企業を訪ねてお知恵を拝借するのが一番速くて確かでしょうから遠慮しないで聞きにいくことです。その先達もさらにその先達に教えてもらっているはずです。

6-3. 従業員情報管理:個人情報の管理維持

 従業員の個人情報や給与データが知れ渡っていて慌てることがあります。特に現在のインドネシアは携帯電話や格安のスマホが普及しており、SNSの利用率も非常に高いため、これらの情報は、時には社外にまであっと言う間に広まってしまいます。
 情報源は当然のことながら人事や経理部門なのですが、親しい従業員に頼まれると断れずに漏らしてしまうようです。
 完全に防止することは難しいかもしれませんが、管理責任者を明確にする、パスワードによりアクセス可能な人間が特定される、漏らした場合の罰則を全従業員に対して周知させるなどの牽制機能はいくらあっても良いと思います。

6-4. 報奨制度:提案制度のなどの導入と奨励

 最近は日本でも希薄になっているようですが、愛社精神に基づいて、自発的に仕事を改善することをインドネシアにおいて期待するのは難しいでしょう。だからと言って簡単に諦めてはいけません。会社と従業員の間でギブアンドテークのルールを設け、提案に対する報奨、提案採用に対する報奨、提案実行に対する報奨、提案効果に呈する報奨などのように、僅かな報奨であっても細かいタイミングで提供することが大事です。
 提案制度においては卓越した提案による会社にとっての財務的な大きな効果ではなく、言われた作業だけに従事しがちな従業員の意識を、仕事の中身や意味を考えることに向かせることが大事な要素であると思います。
 提案制度や小集団活動の進め方について、世界最先端の日本の仕組みや運営方法を是非事前に勉強しておいて欲しいと思います。

インドネシアビジネスサポート